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あらまし

低線量被曝の健康に対する影響にかんする報告書などを以下にリストする。なお、ここでいう報告書とは、広くさまざまな論文を科学者集団がまとめ、健康に対する放射線の影響に一定のコンセンサスを与えようとしたレポートを指す。報告書の執筆母体にはおおまかに

  1. 政府、ないしは国際機関による報告書(IAEA, WHO, 米国NASなど)
  2. グリーンピースを中心とする市民団体(ECRR, IPPNWなど)

に分けることができる。内容を比較するとコンセンサスの違いが目立つ。大幅にレベルの異なる健康被害リスクが報告されている。

前者に関しては諸国家が放射線に関する法律を策定する際に参照する報告書である。しかしながら現場の医師や科学者の実感よりも低線量被曝に関する健康被害の程度が低く見積もられることがままあるようであり、批判的な立場は少なくない(この点の詳細に関しては公式報告書への批判の項を参照せよ)。見積もりが低くなってしまう大きな理由は次のように見受けられる。一つは、統計理論上の問題である。統計的に有意な差を示すためには環境の放射線量が低くなればなるほど、サンプル集団となる人間の数が多くなくてはいけない、という理論上の限界がある。また、人間個々の生活は千差万別であり、一要因だけの比較が難しい(たとえば喫煙などの影響を排除するためにさまざまな工夫が必要になる)。こうした理由から、数の少ない症例から「科学的に影響がある」と公的にその因果関係を結論づけることがほぼ自動的に不可能になる。さらにいえば、統計的に処理することができなければリスクが計上できないという実務レベルの問題もあるだろう。また、「過大評価に対抗して過小評価する」という政治的な意図があったという、たとえばチェルノブイリ・フォーラムの報告書の編集過程に関わったIAEAのスポークスマンの証言をネイチャーが報告している

後者に関しては反原発の立場から論文の引用が逆に恣意的に大きくなる傾向がある。この点でその主張が科学的というよりもやはり政治的に傾くきらいがある[1]。こうしたリスクを必要以上に大きくとる立場に対抗する意味で、前者の公的機関がリスクを必要以上に小さく見積もるというこれまた政治的な傾向も国際会議での議論のログなどから散見される。

以下に挙げる報告書は目下のところ二種類ある。広島長崎の被爆者、核実験被爆者、原発労働者、チェルノブイリの被爆者などを含めた一般的な報告と、チェルノブイリの被爆者に関する報告書である。目下特にチェルノブイリに注目した理由は、このように情報をまとめるに至ったそもそもの動機を参照してほしい。[2]

References

  1. こうしたあからさまな傾向から、京大の今中さんはECRRを信頼できない、としている。Link
  2. 国連のチェルノブイリサイトには古い報告書などのリンクがある。http://www.un.org/ha/chernobyl/reference.html

一般

原子放射線の影響に関する国連科学委員会2008年報告書

原子放射線の影響に関する国連科学委員会2006年報告書

  • Volume I
    • Annex A - Epidemiological studies of radiation and cancer
    • Annex B - Epidemiological evaluation of cardiovascular disease and other non-cancer diseases following radiation exposure.
  • Volume II
    • Annex C - Non-targeted and delayed effects of exposure to ionizing radiation;
    • Annex D - Effects of ionizing radiation on the immune system; and
    • Annex E - Sources-to-effects assessment for radon in homes and workplaces.

米国科学アカデミーBEIR 2006報告書

内部放射物の放射線リスクを検討する委員会(CERRIE)、英国

チェルノブイリ

原子放射線の影響に関する国連科学委員会2000年報告書

チェルノブイリフォーラム報告書(2005)

  • "Chernobyl’s Legacy: Health, Environmental and Socio-economic Impacts and Recommendations to the Governments of Belarus, the Russian Federation and Ukraine" The Chernobyl Forum, IAEA (2005)

チェルノブイリフォーラム報告書(2006)



世界保健機構(WHO)報告書(2006)


チェルノブイリ:人と環境のカタストロフの結果(2009)

批判など



核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部報告書 (2011)

タイトル「チェルノブイリの健康への影響 原子炉のカタストロフの25年後」。科学者集団「核戦争防止国際医師会議[1]」による報告書。原発に関してはグリーンピースよりの主張である。


References

  1. http://www.ippnw.org/ 日本の支部はhttp://www.hiroshima.med.or.jp/ippnw/
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